2011年1月23日日曜日

【ソーシャル・ネットワーク】



監督 :デビッド・フィンチャー
キャスト : ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク
脚本 :アーロン・ソーキン
製作総指揮:ケビン・スペイシー、アーロン・ソーキン


脚本家がfacebookの開設者マーク・ザッカーバーグに取材を断られた上で
製作されているという映画なのでドキュメンタリー風のドラマではあるけれど、
少し前の今を感じられる映画としては面白い。

起業・投資・ネット・広告に関係するビジネスに身をおいて人脈を築こうと行動している
人たちにはとてもリアリティのある映画でしょう。



物語は訴訟問題が起きているところを軸に描かれていて、
生み出されるお金が大きくなればなるほど、本来の目的や友達との関係が
見えにくくなったり、エゴによって変化していく感情がみえてくる。
人が人を信じたくても信じられなくなってきたり、より自分の考えを
主張したくなったりしまう人間関係のごたごたが展開してゆく。


ハイスピードで流れるネットの世界。
短期間でひとつのビジネスモデルが成功し、それをめぐり訴訟が起きる。
この映画を観ていると2004年とか2005年といった過去が遥か遠い昔に
感じられてしまう。
これが今の時代の流れの象徴ですかね。


*****ここからはネタばれに注意*****


ジャスティン・ティンバーレイク演じる音楽配信サービスのNapsterを
つくったショーン・パーカーとマークがクラブで投資家に
「ザ・フェイスブック」の価値を認めてもらおう!と夢を語るシーン
には若者のリアリティがあり、臨場感がある。
クラブの音楽に高揚させられるようにビジネスへの価値観が一致している
と意気投合し、盛り上がる二人。

マークは利益優先ではなく、ネットを使って新しいムーブメントを作りたい
と夢を見ていて、一方、ショーンは地位や名声や遊びに貪欲な青年として描かれる。



頭がよくて、傲慢で、人の心の痛みに無神経な発言をしてしまうオタクなマークは
恋人と口論になり「アンタがモテないのは性格がサイテーだからよ」と言われた
ことをきっかけに酔った勢いでブログに彼女の悪口を書く。さらにハーバード大の
コンピュータをハッキングして女子学生の写真を集め、女の子の顔の格付けサイト
を立ち上げる。
公開から2時間で2万2000アクセスを記録するほどのものとなり、数時間後には
大学側にサイトをつぶされ公に。

そんなマークの能力に目をつけたハーバード大学ボート部に所属するエリート学生
の兄弟とその友人は「名誉挽回のチャンス」と称し、ハーバード大生専用の
コミュニティサイトの制作協力をマークに依頼。
マークは彼らのアイディアからヒントを得て、親友のエドゥアルド・サベリンに
協力を求め、「ザ・フェイスブック」をつくり始める。






物語のラストで新人弁護士の女性にかけられた一言で、訴訟真っ只中だけれども、
起業をしてからの短期間のさまざまな経験とフェイスブックを起こすきっかけと
なった自分の気持ちがシンクロしているシーンがちょっと寂しい一人の人間の姿に映る。



時代の産物に振り回されたようにもみえる、なるべくしてなった人間関係。
ビジネスのスピードには面白さもあるだろうけれど、人間関係が希薄でもろく、
移ろいやすさもある。


時間の流れが速くなればなるほど、親友のエドゥアルドのように人間関係を
ゆっくり築いていこうとする者がおいていかれる図。
マークとショーンが「フェイスブック」に新しい投資起業をつけ、大きく
進み出したときには悔しい気持ちと怒りをぶちまけることになってしまうエドゥアルドだ。
ビジネスはスピードとアイディアだというのがIT業界では顕著なのですね。

アイディアを盗まれたと訴訟を起こす、ボート部の体育会系のハーバード大学生の
姿もこの映画の中ではすごくスローで、皮肉にも能無しのように見えてしまう。

観ていてワクワクしたり、熱くなったりもするけれど、後味はちょっと寂しいと
感じるのは登場人物との世代の違いでしょうか。
人間らしさってなんだか分らなくなりつつある、時代の過渡期にも感じられた。

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