2010年6月14日月曜日

笑顔で見れる座頭市 ざ らすと



監督: 阪本順治「どついたるねん」「顔」「亡国のイージス」「闇の子供たち」
原作: 子母澤寛
脚本: 山岸きくみ
出演: 香取慎吾、石原さとみ、原田芳雄、倍賞千恵子、仲代達矢 ほか
ストーリー:勝新太郎、ビートたけしが演じてきた盲目の居合いの達人・座頭市にSMAPの香取慎吾が扮し、市の最期を描く「最後の座頭市」。

私は、「座頭市」シリーズというのを観たことがない。
今回観てみようと思ったのは、THE LAST ということかな。
初めてみるのに、ラストからって。

興味は、阪本順治監督とSMAPの香取慎吾さんが、どのようなコラボレーションをしたのか、そのひしめき合いがみたかった。

香取慎吾さん演じる、市(イチ)は明るくて、どうしてもバラエティーの色が濃い。思わず、彼のその動きがコミカルに見えてしまうのは私だけでしょうか。

でもそれはそれで、後半にいくにつれ、頼もしく見えてきたキャラクターにまとまったので結果的にはよいと思う。

強さと優しさとを持つヒーローがうまく描かれてた。

加藤清史郎くんの演技、光ってました。お父さんを亡くして、ワンワン泣く姿はとても素直なお芝居で。
ちょっと胸打たれます。

2010年6月4日金曜日

【パーマネント野ばら】



















監督: 吉田大八「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「クヒオ大佐」
原作: 西原理恵子
脚本: 奥寺佐渡子
出演:菅野美穂、江口洋介、夏木マリ、小池栄子、池脇千鶴ほか



 
 舞台は原作者の故郷の高知県のとある町。主人公、なおこの実家はパーマ屋さん。
 この店を営む母親役に夏木マリ。登場した瞬間が一番インパクトあったかな。

 そして、常連客のおばあちゃん達のオトコの話。そんなおばあちゃんたちの頭にパンチパーマをあてながらタバコをくわえてみせる母、マリさんはかっこいい。

 離婚をして子供と実家に戻って来た、なおこ。
 オトコ運の悪い幼馴染たちとそれを囲むダメダメなオトコたち。
 ドタバタする田舎のとある日常?オーバーだけど、アルアルと思ってみたり。

 中盤、特に大きな山もなく過ぎていくいのだろうと思って見ていたのでラストのシーン近くでハッとできたというのが本音。
 いい意味で油断していたという感じ。

 原作を読んでなんとなく想像していたことが、映画ではうまく、心が立体的に表現されたっていうかなんというか。

 ひとによっては、どんでん返し、と表現したりするかもしれないが、主人公なおこの中ではずっと流れていた時間なんだね。
 

ダメダメ亭主を亡くし、その遺品をいつもの丘に埋める幼馴染のともちゃんに
 
 なおこ「じつはね・・・」

 ともちゃん「うん、何回も聞いたよ(と笑顔)」

 なおこ「・・・」

そして、海辺にいるなおこのところに、幼馴染のみっちゃんがやって来て

 みっちゃん「あっ、デート中か・・・」

 なおこ「(我に返り)みっちゃん、、わたし、、クルッてる?!」

 

前半、私はなおこに感情移入できないなあって見てたんだけど、(というかちょっと批判的な思いもってたかもしれない)

 ここで突然、彼女を肯定できちゃった。

この映画観られてる方でそう思った方多いのでは?



 忘れたい、とか思うことってみんな一つや二つは持ってると思うんだけど、その思いってその後、いろんな形でその人に影響してるのかもしれない。(たとえ自覚がないひとでも)

 「痛み」っていうのかなあ、人と出会っていろんな経験をしてくと生まれてくる感情。

 現実的に生きていくにはその感情になかなか素直のままでは生きていけないというのが大人だったりして。

こういうこころの部分にこの映画はひとつぶのエッセンスを送ってくれる。



田舎を舞台に映画を、なんて考えて、2年前に短編「幸せな記憶」を書いたときの感情が甦った、
その瞬間、ふわッと胸が熱くなりました。