2010年9月11日土曜日

【サマーウォーズ】

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監督・原作: 細田守「時をかける少女」
脚本: 奥寺佐渡子
製作国: 2009年日本映画
上映時間: 114分
配給: ワーナー・ブラザース映画


ストーリー:
数学が得意だが気弱な高校2年生の健二は、憧れの先輩・夏希に頼まれ、夏休みの間、彼女の実家:陣内家で夏希のフィアンセとして過ごすことに。そんな時、健二はネット上の仮想空間OZで起きた事件に巻き込まれ、その影響が現実世界にも波及。夏希の一家ともども、世界の危機に立ち向かう。


アニメーションだから「世界の危機に立ち向かう」なんて壮大な設定ができてしまう。
普段あまりアニメーション映画を観ない私でしたが、脚本が奥寺佐渡子さんだったのと、いい映画と評判が高かったのもあり一度は観てみたかったこの映画。

映像のdetailについてはよく説明できませんが、ネット上のゲームで起きている戦いが、現実世界とうまくシンクロしているところがよかった。大人も子供も楽しめるストーリーになっていると思う。
長野県上田市という田舎町の旧家の歴史と、大家族の風景が仮想空間OZ(オズ)と対比され、またつながるように描かれ、ハラハラどきどき登場人物たちに仲間入りした気持ちになって見れてしまう。

展開されている話が非現実的なのに、登場人物が皆いるいる!って思えるほど性格と言動が魅力的に描かれている。
ここ数年のスタンダードになりつつある、古き良き日本の文化に懐かしさとともに郷愁を感じつつ、ああいう田舎のない私には羨ましく思えてしまうほど。

夏希の曽祖母である「ばあちゃん」がなんともいいことを言うんだな、これがまた。


感動できますよ。


仮想空間OZの管理権限の暗号パスワードが何者かに盗まれ、現実世界を制御するあらゆる機能が勝手に操作されてしまう!世界的な危機が起こってしまうかも!となったときに、陣内家の親戚中が一致団結して暴走する仮想上のアバターと戦う。
世界中の人たちが、そんな陣内家の人々が勇敢に戦う(ネット上ですがリアルとつながっているという設定ですから戦いは真剣なのです)姿に共感しみんな自分のアバターを使ってくださいって集まってくれる。
思いは通じる、が分りやすく描かれていて熱い気持ちになれるし、大事なものって伝わってるなあ。って安心できる。何度も言いますが参加してる気持ちになれちゃうところが私はよかったな。




2010年8月2日月曜日

【(500)日のサマー】



原題  : (500) Days of Summer
監督  : マーク・ウェブ
脚本  : スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー
出演  : トム役 (ジョセフ・ゴードン=レビット)
      サマー役(ズーイー・デシャネル)
製作国 : 2009年アメリカ映画
上映時間: 96分


グリーティング・カード会社で働くトム。そこへ、社長秘書として入社してきたのがサマー。
トムは本当に人を愛するということを熱く語るロマンチスト。
サマーは美人でモテモテだが、愛の存在はないものとし、恋人は作らない主義。
そんなサマーに一目惚れをしたトムは、他のどの女性もがつまらないものだと目に映ってしまうほどサマーに夢中になっていく。

運命の恋を信じるトムは果敢にアタックし、遂にサマーの家へ招かれ一夜を共にする。
しかし、サマーにとってトムは運命の人ではなく、ただの「友だち」でしかなかった。。


恋愛は楽しむもの、という彼女の考えは、サマーを自分のものにしたいトムにとってはストレスフルなものへ感情を変化させていくのだ。


CMディレクター出身監督によるスタイリッシュな映像や、音楽に魅せられながら、「これはラブストーリーではない」と冒頭に断言されたリアルな世界へと入り込むことができる。


時系列に物語が進むのではなくて、タイトルにもあるように【500日】で何かが起きることは約束されているようなもの。
主人公トムの記憶が蘇るように物語が進んでゆくから、観ている人たちは特に大きなイベントやエピソードがなくとも、展開が予想できないので自然にお話に引き込まれてゆくという構成。

主人公の男性目線で描かれ、男性は心を乱されてしまうリアルな映画。
恋愛に奥手なトムには肩肘張らずに恋愛というものを楽しむサマーのフレキシブルさがまぶしく映るのだが、実はそれこそがトムのこれからに必要なものなのだろうと思わせる。


演じる若手の役者の魅力もあって、リアルな世界を観ていると感じながらも胸がキュんとなる映画でした☆

2010年6月14日月曜日

笑顔で見れる座頭市 ざ らすと



監督: 阪本順治「どついたるねん」「顔」「亡国のイージス」「闇の子供たち」
原作: 子母澤寛
脚本: 山岸きくみ
出演: 香取慎吾、石原さとみ、原田芳雄、倍賞千恵子、仲代達矢 ほか
ストーリー:勝新太郎、ビートたけしが演じてきた盲目の居合いの達人・座頭市にSMAPの香取慎吾が扮し、市の最期を描く「最後の座頭市」。

私は、「座頭市」シリーズというのを観たことがない。
今回観てみようと思ったのは、THE LAST ということかな。
初めてみるのに、ラストからって。

興味は、阪本順治監督とSMAPの香取慎吾さんが、どのようなコラボレーションをしたのか、そのひしめき合いがみたかった。

香取慎吾さん演じる、市(イチ)は明るくて、どうしてもバラエティーの色が濃い。思わず、彼のその動きがコミカルに見えてしまうのは私だけでしょうか。

でもそれはそれで、後半にいくにつれ、頼もしく見えてきたキャラクターにまとまったので結果的にはよいと思う。

強さと優しさとを持つヒーローがうまく描かれてた。

加藤清史郎くんの演技、光ってました。お父さんを亡くして、ワンワン泣く姿はとても素直なお芝居で。
ちょっと胸打たれます。

2010年6月4日金曜日

【パーマネント野ばら】



















監督: 吉田大八「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「クヒオ大佐」
原作: 西原理恵子
脚本: 奥寺佐渡子
出演:菅野美穂、江口洋介、夏木マリ、小池栄子、池脇千鶴ほか



 
 舞台は原作者の故郷の高知県のとある町。主人公、なおこの実家はパーマ屋さん。
 この店を営む母親役に夏木マリ。登場した瞬間が一番インパクトあったかな。

 そして、常連客のおばあちゃん達のオトコの話。そんなおばあちゃんたちの頭にパンチパーマをあてながらタバコをくわえてみせる母、マリさんはかっこいい。

 離婚をして子供と実家に戻って来た、なおこ。
 オトコ運の悪い幼馴染たちとそれを囲むダメダメなオトコたち。
 ドタバタする田舎のとある日常?オーバーだけど、アルアルと思ってみたり。

 中盤、特に大きな山もなく過ぎていくいのだろうと思って見ていたのでラストのシーン近くでハッとできたというのが本音。
 いい意味で油断していたという感じ。

 原作を読んでなんとなく想像していたことが、映画ではうまく、心が立体的に表現されたっていうかなんというか。

 ひとによっては、どんでん返し、と表現したりするかもしれないが、主人公なおこの中ではずっと流れていた時間なんだね。
 

ダメダメ亭主を亡くし、その遺品をいつもの丘に埋める幼馴染のともちゃんに
 
 なおこ「じつはね・・・」

 ともちゃん「うん、何回も聞いたよ(と笑顔)」

 なおこ「・・・」

そして、海辺にいるなおこのところに、幼馴染のみっちゃんがやって来て

 みっちゃん「あっ、デート中か・・・」

 なおこ「(我に返り)みっちゃん、、わたし、、クルッてる?!」

 

前半、私はなおこに感情移入できないなあって見てたんだけど、(というかちょっと批判的な思いもってたかもしれない)

 ここで突然、彼女を肯定できちゃった。

この映画観られてる方でそう思った方多いのでは?



 忘れたい、とか思うことってみんな一つや二つは持ってると思うんだけど、その思いってその後、いろんな形でその人に影響してるのかもしれない。(たとえ自覚がないひとでも)

 「痛み」っていうのかなあ、人と出会っていろんな経験をしてくと生まれてくる感情。

 現実的に生きていくにはその感情になかなか素直のままでは生きていけないというのが大人だったりして。

こういうこころの部分にこの映画はひとつぶのエッセンスを送ってくれる。



田舎を舞台に映画を、なんて考えて、2年前に短編「幸せな記憶」を書いたときの感情が甦った、
その瞬間、ふわッと胸が熱くなりました。

2010年5月9日日曜日

かっこいい映像とくクスっとするほろ苦さが

小津安二郎監督の映画のゆったりと流れる映像を久しぶりにゆっくり味わった。
巨匠の作品について大それたことは言えませんが、本日鑑賞した「秋刀魚の味」は遺作となった作品。
有名な「東京物語」「麦秋」「晩春」など前期のものは白黒でかなり昔の日本といった印象があるが、この作品はカラー作品で戦後の日本のとある家族の風景が描かれている。
小津監督の映画はその時代時代を丁寧な演出と映像で切り取ったような、趣がある作品で、観ていてしみじみする。



映像的にはオープニングの赤いラインが入った工場の煙突が並んだカットはかっこいいし、時代を感じる。そのほかにも(佐田啓二)と(岡田茉莉子)演じる長男夫婦の住む団地の風景。色や配置が視覚的にかっこいい。




ストーリーは、母親の死後、父の平山(笠智衆)が同窓生から娘(岩下志麻)の縁談を持ちかけられ、そろそろ嫁に出さねばと考えはじめ、決心をするまでの葛藤と娘が嫁に出て行くまでのお話。


通称ひょうたんと呼ばれる恩師を囲んだ同窓会では酔いつぶれた恩師を自宅まで送り届け、妻に先立たれた恩師が繁華街でラーメン屋を営み、嫁に行き遅れた娘には冷たい態度をとられている。
「孤独だよ」と酔っ払いながら寝てしまう恩師を見て平山は決心をする。
ひょうたんの店を再び訪れた平山は軍隊時代の部下に再会。その部下に連れられていったバーではそれを営んでいる(岸田今日子)がどこか亡き妻に似ていると感じ、軍艦マーチを聞きながら酒を飲む。





独特の淡々としたテンポとセリフ。登場人物たちのセリフにはどこかユーモアがあり、その中に垣間見れる人間味が絶妙なバランスで、自然に惹きこまれていく。

「秋刀魚の味」は最後に一滴涙が頬をつたう、ほろ苦いけどこころあたたかな映画。

2010年4月26日月曜日

武士道シックスティーン

古厩智之監督の映画「武士道シックスティーン」
よかった。

二人の女性が登場し、互いが影響を受け合う。彼女たちは気づかずにいた、または目を背けていた自分に気づき、互いが本音をぶつけ合うことで一歩前へ踏み出すことができる。
私が処女作でやりたかったこと。また、直しの課題に思っていたことを見させていただきました。
二人のキャラクターの対比、キャラクターの心情の変化、登場人物が目標に向かってストーリーが進んでいく。笑えて、泣けて、とてもいい映画でした。
映画とはこうやって作るんだ、とお手本を見せてもらえた気持ちです。


映画として観客を引き込ませるにはそれなりの作り方がとても重要です。
極端な例としては、一日という設定で作ってみる、ということをアドバイスでもらいました。
一日という設定で描くとなると、キャラクター性とストーリー描写が深くならざるを得ないとう縛りがあるからとのこと。納得していたところでした。


その点でこの作品は、キャラクターがもつ葛藤を剣道というスポーツを女子が取り組む、という設定の中でとてもよく描かれていたと思います。各々の明確なキャラクター設定は見ている側にとても分りやすく、また気持ちよく映ります。


成海璃子演じる磯谷香織は、女子なのに考え方や言動が侍?というか男子脳。こうゆう女子はいないだろうからおもしろい。けど、スポーツに燃えてる女子の強調としてはアリアリ。と、リアルに感じられたのもよかった。彼女はが幼いころから父に褒められたくて、笑う顔が見たくて、剣道を続け勝つことを目指してきた。そして今は高校の同級生が遊ぶ遊びを何も知らない、楽しさをしらない。
「なぜ私は勝つことを目指しているの?」
そんな彼女がライバル、西荻早苗(演じる北乃きい)の自分に出来ない剣道の強さを見てしまったときに心が折れ、剣道を辞めてしまいたくなる。ここで等身大の女子高生にかえり、見ている人たちに共感をさそう。


これ以上は書きませんが西荻早苗もしかり。
二人がぶつかったところを境にベクトルの矢印が交差するかのように違った、よい方向へと互いが進んでいく。

いい映画でしたよ。ほんとに。

2010年4月19日月曜日

『ソラニン』

いい映画だと思いました。
宮崎あおいさんのお芝居で泣けたシーンがありました。
感想はまたの機会に。

2010年2月15日月曜日

guest house でのcommunication

年末に横浜市にある住人同士のコミュニケーションをコンセプトとしたゲストハウスに引越しをした。
短期間の滞在ですが。

Ghana,Korea,Egypt,Australia,Germany,Holland,・・・
いろんな国や地域やからやってきた人たちと偶然にも出会う毎日の暮らしをしている。
英文科出身で英会話を習ってと、がんばってきた私ですが留学経験がありません。
未だ世界の文化をしらない私に予想もしていなかった国内留学的環境に少しずつ慣れてきた日々。



昨晩は、国際恋愛してる人たちの両親の理解の違い、とちょっとディープな話をしました。
日本人は、20歳はまだまだ子供かもしれません。30歳でも両親が心配をしてくれます。
こんな環境しか知らない私に彼らの言葉は私のアイデンティティを少し客観的に見させてくれている。


大手旅行代理店に勤めている韓国人女性とはスピッツが好き、バンド経験があることを知りちょっと盛り上がってます。
彼女が今度ドラマで「ばらの花」って曲が使われるんだけどアーティストなんだっけって、あっそれは確か私も好きな曲で何度も聞いていた・・・くるり! あ~そうそう!と喜んでくれた彼女。来月彼女が出発するまでにはアルバム「TEAM ROCK」を送ろう。と思ってアルバムひっぱり出しました。

2010年2月1日月曜日

サンダンス受賞とその後

久しぶりに倉田ケンジ監督からご連絡をいただいた。

「スプートニク・バンケット」に参加させていただいたのはもう何年も前になりますが、当時監督の思いに答えられず悔し涙を撮影前に流したことも思い出します。いい経験をさせていただきました。倉田組には実家まで来て服を選んでいただいたり、みんなで夕日まちをして何度も川沿いを自転車で往復したりと、映画を作っている実感をもてた作品です。今は生みの苦しみが少し理解できる人間に成長しつつあります。

作品【彼女のSpeed (英題:SpeedGirl)】がサンダンスNHK国際映像作家賞2009グランプリ受賞
とはとても嬉しい限りです。また6年ほど前に読ませていただいた作品【緋音町怪絵巻 ‐Mystery of Akane-cho‐】がDVD発売されるとのこと。感慨深いですね。

私も年明けから新作にようやく取り掛かりはじめているのですが、なんだかんだと映画と共に生きてきたことを実感している今日この頃。