フェディリコ•フェリーニの『道』
これを好きな映画と言う人にまた出会ったので、観てみることにした。
欲情にこりかたまった旅芸人のザンパノは少々頭の弱いジェルソミーナをタダ同然で買い取った。心の素直なジェルソミーナはザンパノと一緒に旅に出る。
芸を仕込まれたジェルソミーナだが、女好きなザンパノに嫌気がさし、逃げていく。
その後、ザンパノに連れ戻され、綱渡り芸人のいるサーカス団に合流することになる。
そこで出会った綱渡り芸人は何かとザンパノをからかって逆上させる。
ある夜、ジェルソミーナはこぼす。
「私は何の役にも立っていない。顔だって美人じゃないし、頭だって良くない、なんでここにいるんだろう?」と。
とても悲しい顔をする。
それを見て、綱渡り芸人は言う。
「たとえば、この小石だって役に立っている。 空の星だってそうなんだ。 君もそうなんだ。」
それを聞いた、彼女はすっかり笑顔を取り戻し、ザンパノについて行くことを決める。
このシーンは、一夜明けて、電車に揺られている時にふと思い出した。
胸打たれるシーンです。
しかし後日、ザンパノは故障した自動車を直す綱渡り芸人を見かけ、綱渡り芸人を撲殺してしまう。
綱渡り芸人の死に放心状態となり、泣いてその場を離れようとしないジェルソミーナ。ザンパノは役に立たなくなったジェルソミーナを見捨て、去ってゆく。
時が流れ、見知らぬ海辺の町に立ち寄ったザンパノは、耳慣れた歌を耳にした。その町に住む女に尋ねると、頭の弱い女がしばらくその海岸を放浪していたが、誰にも省みられることなく死んでいったという。
それはジェルソミーナがラッパで吹いていた曲。
海岸にやってきたザンパノは、ひとり泣き崩れる。
タイトルにあるように、人にはそれぞれのゆく道がある。
別れて行った人の道が、人の心を揺さぶることもあるのが人生なのかしら。
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